MLPerf Inferenceとは
何を測るテストか
MLPerf(エムエルパーフ)は、AI業界の団体MLCommons(エムエルコモンズ)が運営するAI性能の業界標準ベンチマークです。「Inference(推論)」は、学習済みのAIモデルを使って答えを出す処理のことで、MLPerf Inferenceは「決められたAIモデルを、決められた精度を保ったまま、1秒間にどれだけ多く処理できるか」を測ります。対象のモデルは版ごとに更新され、2025年4月の「v5.0」では、大規模言語モデル(文章を生成するAI)のLlama 2 70BやLlama 3.1 405B、画像認識のResNet50、自動運転向けのPointPaintingなどが含まれます。データセンター向け(Datacenter)と、端末や小型機器向け(Edge)の2部門があります。
スコアの見方
結果は主に「スループット(1秒あたりの処理数)」で、高いほど良いです。モデルによって単位が異なり、画像認識なら「1秒あたりの画像枚数」、言語モデルなら「1秒あたりのトークン(単語の断片)数」などで表されます。また、測り方(シナリオ)が複数あり、「Offline(まとめて一気に処理)」「Server(ランダムに届く要求に制限時間内で応答)」「SingleStream(1件ずつ順番に)」などで数字が変わるので、比較は同じモデル・同じシナリオでしかできません。結果はMLCommonsのサイトに「提出者(メーカーやクラウド事業者)」「システム構成(GPUの型番と枚数、CPU、メモリ)」付きで公開されています。GPU1枚あたりの性能を見たいときは、システム全体の数値をGPU枚数で割って目安を出します。
比べるときの注意
(1)結果は「システム全体」の数値です。GPUが8枚載ったサーバーの数字を、GPU1枚の性能と誤解しないでください。(2)「Closed(決められた条件で全員同じ)」と「Open(独自の最適化を許す)」の2つの部門があり、Openの数字は条件がそろっていないので比較に使えません。相場サイトの比較ではClosed部門を見ます。(3)ソフトウェア(推論エンジンのバージョンや数値の精度設定)で結果が大きく変わり、同じGPUでも版が変わると数字が伸びます。版(v4.0、v5.0など)をそろえてください。(4)提出は任意なので、すべてのGPUの結果があるわけではなく、特に一般向けGPUや旧世代品はデータがないことが多いです。(5)電力の測定(Power)は別部門で、提出がある場合だけ比較できます。
主に使われる型番のカテゴリ
データセンター向けGPU・AIアクセラレータ(NVIDIA H100/H200/B200、AMD Instinct MI300系・MI325X、Google TPUなど)とAIサーバー全体の評価。中古のAIサーバー・アクセラレータを「推論用に何枚必要か」見積もるときの基準に使います。一般向けGeForceやCPU単体の比較には向きません。
公式サイト:https://mlcommons.org/benchmarks/inference-datacenter/